2006年4月30日 (日)

論評:"What is a mechanism? A counterfactual account"

メカ研20060418

"What is a mechanism? A counterfactual account." Woodward,J. Philosophy of Science 69 (2002), pp.S366-377.「resume20060418-Woodward2002.pdf」をダウンロード

【内容】

因果関係を主張するためには、法則ではなく反事実条件文に訴えるべきである。メカニズムにおける生産的関係(≒因果関係)を特定するために、「干渉」を行なうとよい。「干渉下で不変」であるような関係を探求すべきである。例えば、オペロンモデルが正しいメカニズムモデルであると主張するためには、それが干渉実験(仮想実験を含めて)の結果を予想できることが必要である。また、このような「干渉」によってメカニズムの適切な要素(他の要素とは独立に変化可能な要素)をも同定することができる。

【論評】

・干渉とは結局、Salmonのスクリーニングオフのことではないのか。だとしたら、それは因果関係の十分条件にはならない。

・因果関係を同定する干渉とは、「他の経路を通らないで変化させることができる」ことらしいが、それは結局、特定の因果関係(「経路」)を前提した上でのみ同定されるのではないか。

・心理学的メカニズムに対するツッコミは興味深い。特に認知心理学(いわんや臨床心理学なぞ)とかで描かれるダイアグラムはかなりうさんくさい気がするし。

KO

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2006年3月22日 (水)

Mechanisms in Japan!?

北陸先端大でメカニズムについて講義してる(してた?)人がいた!このGeroge Kampisという人のページのJAIST Lectures"Causality, Logic and Dynamical Systems" (May 27.)を参照。

講義は主に科学的方法としてのメカニズムとか、それによる因果性の分析とか、メカニズムについての最近のテーマを全体的に扱っているっぽい。

http://www.jaist.ac.jp/~g-kampis/

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2006年3月20日 (月)

論評 "Explanation: a mechanist altenative"

"Explanation: a mechanist alternative"

Bechtel,W., Abrahamsen,A. (2005) Studies in History and Philosophy of Biological and Biomedical Sciences : 36, pp.421-441

【内容】

生物学においてはメカニズムによる説明が一般的である。では法則的説明とメカニズム的説明は何が異なるのか?

1.メカニズムは実在である。科学者はメカニズムを表象するダイアグラムを使って、(法則における論理的推論でなく)シミュレーションを行なう。

2.メカニズムの発見と検証は、分解(構成要素の同定)と局在化(構成要素と構成作用を関連付ける)を通じて行なわれる。

3.法則的説明においては普遍性や共通性が探求されるが、メカニズム的説明においては対象メカニズム間のバリエーションや類似性が探求される。

【論評】

①メカニズムを自然界における実在とみなすのは、強い形而上学的な主張であり、フォローを要するであろう。

②論文筆者らによる「分解」と「局在化」という捉え方は、科学的実践を反映する点で適切である。さらに(この論文では深く探求されていないが)分解と局在化は生物学・神経科学の知識体系をうまく捉えうるかもしれない。

③法則と違って、メカニズム間のバリエーションが科学的研究において探索されるというのは、重要な指摘である。このような観点から、物理学と生物学・神経科学の知識体系の相違が明確になるかも知れない。

by KO

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2006年3月18日 (土)

論評 :"Thinking about Mechanisms"

"Thinking about Mechanisms"

Machamer,P., Darden,L., Craver,C.F.(2000) Philosophy of Science: 67, pp.1-25

【内容】

神経生物学と分子生物学におけるメカニズムによる説明を定式化する。

メカニズムとは規則的変化を生じるように組織化されたentityとactivityである

(単なるentityの相互作用の集合ではない)。

activityは変化を生じる(producue)ものであり、その連続性は矢印でしばしば表現される。

メカニズム論は存在的にも認識的にも適切なものである。

【論評】

①論文筆者らはentityとactivityの二元論を明確に主張するが、その根拠が不明確である。

なぜentity間の相互作用をもってメカニズムと見なしてはならないのか?確かに、「メカニズムは事を成す(do thing)」(pp.5)とも言えるが、「メカニズムにおいては相互作用と状態遷移がある」という言い方では何が不十分かについて、説得力不足である。

②メカニズムはentityとactivityから成ると言うが、メカニズム間の階層はどのように表現されるのか?

例えば、あるメカニズムAが、entityである{a,b,c...}とactivityである{p,q,r...}から構成されるとき、そのAを要素とする高次のメカニズムXがあるかもしれない。すると、メカニズムXにおいてAはentityであるかactivityであるか、いずれかである(メカニズムはentityとactivityから構成されるから)。Aはメカニズムであると同時にentityである、ということは許されるのか?

③因果性(原因)ついての分析、および必然性についての分析が、不明確である。

④メカニズム論は、神経生物学と分子生物学における説明の実例を扱える点で、長所を持っている(例えばDNモデルでは、法則を用いない(と思われる)生物学的説明を、うまく扱えないだろう)。メカニズム論は、神経科学、認知科学、心理学などの高次科学への応用が期待できる。

by KO

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